光回線を申し込むと、必ず聞かれます。「ひかり電話はどうされますか?」——月550円前後。年間で6,600円。スマホがあるのに、固定電話にこの金額を払う意味はあるのか。多くの人がここで一瞬固まります。
結論から言うと、判断は「番号を使うか」と「番号を残すか」の2軸で決まります。この2つを分けて考えないから迷うのです。さらに2026年は、NTTのアナログ電話サービスが終了に向かっているという時期特有の事情もあります。順番に整理します。
固定電話番号を「使う予定もなく、残す必要もない」なら、ひかり電話は不要です。スマホで足ります。
逆に必要なのは4パターン。①今の固定電話番号を残したい ②光回線のセット割や特典の適用条件にひかり電話が含まれている ③FAXや事業用の連絡先として固定番号が要る ④ひかり電話対応ルーターを使いたい。この4つのどれかに当てはまるなら、月550円は妥当な出費です。
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2軸で決める要否判定チャート
「必要か不要か」で迷うのは、「電話をかける・受ける用途」と「番号を保有し続ける用途」がごっちゃになっているからです。分けて考えると一瞬で決まります。
ポイントは左上のマスです。「もう固定電話で話すことはないけれど、実家の番号は残しておきたい」——このニーズは非常に多く、そしてこの場合ひかり電話に移すのが最も安いという答えになります。番号を残すためだけに加入電話の基本料を払い続けるより、月1,300円ほど安くなる計算です。
ひかり電話と加入電話の料金差
2026年9月時点の税込の目安で並べます。
| 項目 | ひかり電話 | NTTの加入電話(アナログ) |
|---|---|---|
| 月額基本料 | 550円前後 | 1,870円前後(住宅用) |
| 通話料(固定宛) | 全国一律 8.8円 / 3分 | 距離と時間帯で変動(市外は割高) |
| 年間の基本料 | 約6,600円 | 約22,440円 |
| 停電時 | 使えない(ONU・ルーターの電源が必要) | 機種によっては使える |
| 光回線の契約 | 必須(オプション扱い) | 不要(単独で契約できる) |
※ 2026年9月時点の一般的な水準をもとにした税込の目安です。地域・回線事業者・プランによって異なります。最新の金額は各社公式サイトでご確認ください。
差は年間で約1万6,000円。5年で8万円です。加入電話の基本料は事務用だとさらに高く、値上げも進んでいるため、差は開く方向にあります。「同じ番号で、同じように使えて、年1万6,000円安い」のがひかり電話の基本的な立ち位置です。
通話料も見逃せません。ひかり電話は距離と時間帯を問わず全国一律8.8円/3分。加入電話は距離が伸びるほど高くなるため、遠方に固定電話でかける機会がある人ほど差が出ます。
固定電話番号を引き継げる条件
「今の番号をそのまま使えるのか」は最大の関心事なので、条件を明確にします。
- NTT東日本・西日本が発番した0AB〜J番号であること(市外局番から始まる番号。03、06、045 など)
- 同じ市内区域内であること(引越しで区域をまたぐと番号は変わります)
- 050から始まるIP電話番号は対象外(引き継げません)
- 他社が独自に発番した番号は、事業者によって扱いが異なる(要確認)
ここで押さえておきたいのが、2025年1月に始まった双方向の番号ポータビリティです。従来はNTTから他社へ移す方向が中心でしたが、制度が拡張され、引き継げる範囲が広がりました。以前「番号を持っていけない」と言われた条件でも、今は可能になっている場合があります。数年前に調べて諦めた人は、もう一度確認する価値があります。
同じ市内区域内の引越しであれば番号を維持できますが、市外局番の区域をまたぐ引越しでは番号が変わります。これはひかり電話に限らず固定電話全般の仕組みです。引越しと同時に回線を見直す場合は、引越しのネット回線ガイドの手順と合わせて計画してください。
アナログ電話は終了に向かっている
これは2026年ならではの論点です。NTTの通信網はすでにIP網へ切り替わっており、従来のアナログ電話サービスは段階的に終了する方向で告知されています。新規販売の終了、そしてサービス自体の終了が、数年内のスケジュールとして示されています。
誤解のないように補足すると、これは「ある日突然、固定電話が使えなくなる」という話ではありません。既存の利用者はメタル電話としてサービスが継続される仕組みが用意されており、番号も維持されます。ただし方向性としては、固定電話はIP網ベース(=ひかり電話がその代表)に集約されていくということです。
アナログ電話からひかり電話への切り替えには、加入電話の利用休止工事費(1,100円前後)などの初期費用がかかります。どうせ移るなら、光回線の工事とまとめてやったほうが手間も費用も一度で済みます。これから光回線を新規契約・乗り換えする人にとっては、いま判断するのが合理的です。
「不要と思ったのに必要だった」4ケース
スマホがあるから不要——で終わらせると、あとから困るパターンがあります。申し込み前に確認してください。
ケース1:セット割・キャンペーンの適用条件になっている
光回線のスマホセット割は、「ひかり電話の契約」が適用条件に含まれていることがあります。とくにauひかりのマンションタイプの一部や、他社の高額キャッシュバック窓口の増額条件などで見かけます。ひかり電話550円を払うことでスマホが月1,100円安くなるなら、差し引きプラスです。「必要か」ではなく「トータルでいくら得か」で判断してください。窓口ごとの条件はauひかりの申し込み窓口比較のように、代理店単位で確認する必要があります。
ケース2:FAXや事業用の連絡先が必要
個人事業主や、自宅で仕事をしている人。取引先に伝える連絡先として携帯番号ではなく固定番号を出したいという需要は根強くあります。また、FAXを使う業種ならひかり電話は事実上必須です(ただしFAXはIP網との相性に注意が必要な機種があります)。
ケース3:ひかり電話対応ルーター(HGW)を使いたい
ひかり電話を契約すると、ONU一体型のホームゲートウェイ(HGW)が提供されます。このHGWはルーター機能を内蔵しているため、市販のルーターを買わずに済むケースがあります。また、一部の回線ではひかり電話契約時のほうがIPv6の接続方式が安定するという構成上の事情もあります(この点はIPv6(IPoE)の解説に詳しくまとめています)。
ケース4:高齢の家族が固定電話を使っている
実家の回線を子世代が手配するケースでは、本人が慣れている固定電話機をそのまま使い続けられることの価値が大きいです。ひかり電話は既存の電話機をそのまま接続できるので、使い勝手は変わりません。番号も変わらないなら、生活は一切変化しません。
使わないけど番号は残したい人の選択肢
「通話には使わないが、番号は消したくない」場合の選択肢を、コスト順に並べます。
| 方法 | 月額の目安 | 番号 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ひかり電話に移す | 550円前後 | 維持できる | 光回線を契約する(している)人。ほとんどの人はこれ |
| 加入電話のまま維持 | 1,870円前後 | 維持できる | 光回線を引かない人 |
| 加入電話の利用休止 | 0円(工事費は別) | 最長5年間"預かり"扱い | 数年間だけ番号を止めておきたい人 |
| 解約する | 0円 | 失う(復活不可) | 番号を完全に手放してよい人 |
「利用休止」は誤解されやすい制度です。番号を預けておける仕組みですが、休止の期間には上限があり、手数料もかかります。光回線を契約しているなら、月550円のひかり電話に移してしまうほうが、管理も手続きもシンプルというのが実務的な結論です。
ひかり電話のデメリット
安くて便利ですが、弱点もあります。ここを知らずに契約すると後悔します。
- 停電すると使えない:ONUとルーターに電源が必要なため、停電時は通話できません。従来の加入電話は電話線から給電される機種があり、この点は明確に劣ります。災害時の連絡手段はスマホ前提で考えてください
- 光回線とセットでしか契約できない:光回線を解約するとひかり電話も使えなくなります。乗り換えのたびに番号の引き継ぎ手続きが発生します
- 一部の特殊番号が使えない:緊急通報(110・119)は利用できますが、一部の3桁番号やダイヤルQ2などの特殊なサービスに制限があります
- 回線工事のタイミングで不通期間が生じることがある:切り替えの日程調整が必要です
- 乗り換え時に番号を引き継げないケースがある:光コラボ間の事業者変更なら基本的に引き継げますが、独自回線(auひかり・NURO光など)へ移る場合は番号を引き継げないことがあります。これはかなり重要な注意点です
NTT発番の0AB〜J番号は、フレッツ網を使う光コラボの間なら引き継ぎやすい一方、独自回線への乗り換えでは番号が変わる可能性があります。「番号を絶対に変えたくない」人は、乗り換え先を決める前に必ず番号の扱いを確認してください。手順は事業者変更承諾番号の取り方で解説しています。
ひかり電話が要る人も要らない人も、比較の起点は「素の月額+必要なオプション」です。7社の条件を一覧で並べられます。
GMOとくとくBB光の料金を見るキャッシュバック・縛りなしの詳細はこちら※ ひかり電話がセット割やキャンペーンの適用条件になっている場合があります。申し込み前に各社公式サイトで条件をご確認ください。
よくある質問
ひかり電話を後から追加・解約できますか?
今の電話機はそのまま使えますか?
ひかり電話とIP電話(050)は何が違いますか?
2回線同時に通話したいのですが可能ですか?
ナンバーディスプレイは使えますか?
まとめ:迷ったら「番号を残すか」から考える
- 判断は「番号を残すか」と「通話に使うか」の2軸。不要なのは両方ノーの人だけ
- 加入電話との差は年間で約1万6,000円。番号を残すだけでもひかり電話のほうが安い
- 通話料は全国一律8.8円/3分。遠方への通話が多いほど有利
- NTT発番の0AB〜J番号は、同じ市内区域内なら引き継げるのが基本
- アナログ電話は終了に向かう方向。どうせ移るなら光回線の工事とまとめるのが合理的
- 「不要」と思っても、セット割の適用条件に含まれていないかだけは必ず確認する
- 弱点は停電時に使えないことと、独自回線への乗り換えで番号を引き継げない場合があること
回線そのものの選び方は光回線おすすめ7社比較へ。戸建てで契約する場合の考え方は戸建ての光回線おすすめ比較にまとめています。
- NTT西日本「ひかり電話 料金」(2026年9月確認)
- NTT東日本 電話サービス案内 加入電話の基本料・利用休止の取り扱い(2026年9月確認)
- 総務省「固定電話網のIP網への移行」および番号ポータビリティ制度に関する公開資料
- NTT東日本・西日本によるアナログ電話サービスの提供終了に関する告知(2026年9月確認)
- 本文中の金額はすべて2026年9月時点の税込の目安です。地域・事業者・プランにより異なります