夜になると動画が止まる。テレワークのWeb会議で自分だけ固まる。速度を測ると契約している「1Gbps」とはかけ離れた数字が出る——。

このとき多くの人が「回線が悪いから乗り換えよう」と考えます。でも実際に乗り換えが必要なケースは、体感で全体の2割ほどです。残りの8割は、接続方式かルーターのどちらかで直ります。しかもどちらも追加費用ゼロで試せます。

先に結論

まずスマホのWi-Fiと、パソコンの有線接続で速度を測り比べます。有線だけ速いならWi-Fi(ルーター)の問題、両方遅いなら回線側の問題です。回線側なら接続方式が古いPPPoEのままでないかを最初に疑ってください。IPv6 IPoE(v6プラス等)に変えるだけで、夜間の遅さが解消することがよくあります。乗り換えを考えるのは、この2つを試したあとで十分です。

迷ったら、ツールで候補を絞れます

それでも回線を替えるなら、工事の可否とスマホのキャリアから候補を絞れます。

まず切り分ける(5分)

原因を決めつける前に、どこが遅いのかを分けます。やることは速度を2回測るだけです。

  1. 1. スマホをWi-Fiにつないで測る

    ルーターのすぐそば(1〜2m)で測ります。速度測定サイトはどれでも構いません。

  2. 2. パソコンをLANケーブルで直結して測る

    ルーターのLANポートに挿して測ります。ノートPCにLAN端子がなければ、この手順は飛ばして構いません。

結果疑うところやること
有線は速い / Wi-Fiが遅いルーターかWi-Fiの電波ルーターの置き場所・周波数帯・買い替え
両方とも遅い回線か接続方式接続方式をIPv6 IPoEに変更
夜だけ遅い接続方式(混雑)同上。時間帯で差が出るのが典型です
特定の時間だけ・毎日同じ建物内の共用設備マンションの配線方式を確認
🧭 「1Gbps」は上限であって実測値ではありません

契約書の1Gbpsは理論上の最大値です。実測で200〜400Mbps出ていれば、動画も在宅勤務も問題なく使えます。遅いかどうかは数字より「用途に足りているか」で判断してください。4K動画で25Mbps、Web会議で上り5Mbpsが目安です。

原因の8割は接続方式かルーター

光回線が「夜だけ遅い」とき、回線そのものは壊れていません。混んでいるのは網終端装置と呼ばれる、プロバイダとNTT網の接続点です。ここを通らない新しい方式に変えると、混雑を避けられます。

接続方式混雑の影響備考
PPPoE(従来方式)受ける夜間に大きく落ちる。古い契約はこのまま
IPv6 IPoE(v6プラス等)受けにくい対応ルーターが必要。追加料金は無料が多い

IPv6 IPoEに切り替える

切り替えに必要なのは2つだけです。プロバイダ側の申し込みと、対応ルーター。どちらが欠けても効きません。

  1. 1. プロバイダのマイページで対応状況を見る

    「v6プラス」「IPoE」「IPv6オプション」などの名前で提供されています。名称は事業者ごとに違います。多くは無料で、申し込み後 数日〜数週間で切り替わります。

  2. 2. ルーターが対応しているか確認する

    型番で検索し、対応表に載っているかを見ます。プロバイダのレンタルルーターに替えるのがいちばん確実です。自前の古い機種だと、申し込んでも方式が変わりません。

  3. 3. 切り替え後にもう一度測る

    夜9〜11時に測ってください。改善するのはこの時間帯です。

📡 そもそも最初からIPv6 IPoEで始めたいなら

契約中のプロバイダが対応していない、あるいは申し込みの手続きが面倒という場合は、最初から標準対応の窓口に変える手もあります。GMOとくとくBB光はv6プラスに標準対応で、契約期間の縛りと違約金がありません。合わなければ抜けられるので、方式を理由に乗り換えるなら候補になります。

ルーターの寿命を見分ける

ルーターは消耗品です。目安は4〜5年で、それを超えると通信が不安定になります。次のどれかに当てはまるなら買い替えを検討してください。

🧭 置き場所だけで変わることもあります

床に直置き、テレビの裏、金属ラックの中、水槽の近く——このどれかなら、まず部屋の中央・床から1m以上の高さ・開けた場所に移してみてください。買い替えずに直ることがあります。

マンションだけに起きる遅さ

集合住宅では、建物内の配線方式が上限を決めていることがあります。自分の部屋の機器をいくら替えても越えられません。

配線方式実際に出やすい速度対処
光配線方式100Mbps〜数百Mbps問題なし
LAN配線方式〜100Mbps程度建物側の上限。個別契約かホームルーターへ
VDSL方式〜100Mbps程度同上。電話線を使うため上限が低い

配線方式は、管理会社に聞くか、NTT東西の提供エリア検索で住所を入れると分かります。VDSLやLAN配線だと分かった時点で、部屋の中の改善では限界があります。詳しくはマンションのネットが遅い原因と解決策で切り分けの手順を書いています。

乗り換えを考えるべきケース

ここまでを試しても改善しないなら、はじめて乗り換えの出番です。次のどれかに当てはまるときです。

ただし、マンションの設備が原因の場合は光コラボ同士で乗り換えても同じ配線を使うので変わりません。この場合は建物の設備を経由しないホームルーターのほうが速くなることがあります。

🔌 建物の設備が原因なら、工事のいらない回線という手もあります

VDSLやLAN配線が上限になっている場合、同じ建物の光回線に乗り換えても改善しません。コンセントに挿すだけのホームルーターは建物内の配線を通らないため、環境によっては逆転します。BIGLOBE WiMAXは最低利用期間と契約解除料がないので、合わなければやめられます。

よくある質問

速度はどこで測るのが正確ですか?
測定サイトはどれでも構いませんが、同じサイト・同じ時間帯で複数回測ってください。1回の数値だけでは判断できません。夜9〜11時と昼間の2つの時間帯で測ると、混雑の影響があるかどうかが分かります。
IPv6にすると何が変わりますか?
混雑する接続点(網終端装置)を通らなくなるため、夜間の速度低下が起きにくくなります。回線そのものの最大速度が上がるわけではないので、もともと昼間から遅い場合は別の原因です。
v6プラスに申し込んだのに速くなりません
ルーターが対応していない可能性が高いです。申し込みだけでは方式は切り替わりません。プロバイダのレンタルルーターに変えるか、対応表で自分の機種を確認してください。
10ギガプランにすれば解決しますか?
有線で1Gbpsに近い数字が出ていて、それでも足りない場合だけ意味があります。PPPoEのままだったりルーターが古いなら、10ギガにしても速くなりません。詳しくは光回線の10ギガは必要かで判断基準を書いています。
ルーターは高いものを買うべきですか?
接続台数と間取りで決まります。1LDKで数台なら1万円前後で十分です。3LDK以上や10台以上つなぐなら、メッシュ対応の機種を検討してください。価格より、IPv6 IPoEに対応しているかを先に確認します。

まとめ

📚 参考情報・データの出典
  • 総務省「電気通信サービスの品質測定手法の確立・国際標準化」— 実効速度の考え方(2026年8月確認)
  • 日本ネットワークイネイブラー「v6プラス」サービス説明(2026年8月確認)
  • NTT東日本・NTT西日本 フレッツ光 提供エリア検索 — 建物の配線方式の確認(2026年8月確認)
  • 本文の速度の目安は一般的な利用条件での傾向です。実際の速度は建物・時間帯・機器構成で変わります